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雇い止めは今後激増する(高知県立大学雇い止め訴訟)

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高知県立大学雇い止め訴訟とは、同大学の職員が雇用契約の6年目が更新されないことに対して雇い止めを主張した訴訟です。令和3年8月10日付で、高知県立大学職員の雇い止めをめぐる訴訟は、最高裁が上告を退けたため、二審判決(雇い止めは無効も雇用の継続性は認めない)で確定しました。

え?!雇い止めは無効なのに、雇用の継続性はないの?

最初に二審判決を見てみようか。

 

判決の概要

最高裁が上告を退けましたので、判決は令和2年3月の二審で確定しました。その判決の要旨は、以下のとおりです。

①雇い止めは合理性がなく無効

②雇用関係が確認される1年間の給与を支払う 

この裁判は2018年3月で雇い止めを受けてしまったものに対する訴訟ですが、どうやら雇用開始の段階で「2019年3月まで(合計6年間)の雇用契約」を提示していたようなのです。しかし、2013年に無期転換ルールが施行されたたため、慌てて契約を延長しなかったというのが実情でしょう。

え、すごい杜撰な話だね。

これはあんまりだよね。訴えた人はIT系の技術職のようだよ。

二審では当初の6年契約の提示を認めて6年目の給与、すなわち1年間の給与を支払うとしたものが②ですが、 腑に落ちないのは「雇い止めは無効なのに、なんで無期雇用転換にならないの?」ということだと思います。

ここは、一審に反して二審が「無期転換の申し出が契約期間満了後」であると認めたことがポイントとなっているようです。

 

当初の予定どおり賃金は支払われた

 

無期転換は申し出タイミングが全て

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これまでもそうでしたが、今後はますます無期転換逃れにも等しい最長5年間の有期雇用が横行していくのではないでしょうか。

今回の判決は雇い止めに関して、無期転換の申し出のタイミングが全てであるという判決だったように思います。詳細まで記載はしていませんでしたが、当判決においては、職員の公募状況や専任登用試験に関することにまで言及されており、これらをもって「雇い止めの合理性なし」とされている訳です。しかし結局のところ、無期転換の申し出タイミング如何が全てであるというのが、現に判決のとおりとなっています。

逆に、6年目の雇用契約が確実となったタイミングであれば、労働者側は無期転換の申し出をする権利を得られるというのはルールどおりです。

参考サイトはこちら

muki.mhlw.go.jp

 

無期転換ルールの確認を!

 

無期雇用者の雇い止め

この次の論点は、無期雇用者を雇い止めするところに移っていくことが予想されます。大学業界では非常勤講師の先生方が無期転換されているものと思いますが、残酷な話、多くの大学は苦々しく思っていることでしょう。通常、無期転換者は同待遇で雇用期間を無期にすることが求められますが、学部再編や大学の統廃合など大きな動きの前には必ずしも約束できるものではないのです。

これこそ無期転換問題の次の論点だと私は考えていて、斜陽産業にもなっている大学業界においては無期転換の雇い止めが横行していく未来はすぐそこまで来ていると感じざるを得ません。

 

無期転換も安定ではない

 

まとめ

非常勤講師のみで生計を立てている先生方は不安だね。

実際、そういう方々はたくさんいらっしゃって、私も無期転換の手続きをしたことがあるよ。。

みんなが能力を発揮して、相応の報酬を得られる社会になると良いけど…。

日本は正規雇用が守られすぎているからね。なかなか難しいかもしれないよ。

 

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