令和2年(2020年)は未曾有の事態に陥ったため、大学は急激な変化の年に見舞われました。
確かにこれまで牧歌的な雰囲気があったことは確かですが、今後の教育サービスは否が応でも変えていかなければなりません。その3つの要素についてお話していきたいと思います。
去年は突然の遠隔授業で大学生は大変だったよね。
そうだね。キャンパスライフを送れなかったことは本当にかわいそうだと思っています…。
大学の在り方
まず大前提として、今後の大学の在り方について述べておきたいと思います。
コロナウイルスの感染がやや落ち着いてきた夏においても、遠隔授業を続けていた大学業界は世間から非常に冷たい目で見られていました。
これは、高校生までのように学生のライフスタイルが一様ではないことが理由ですが、それでもやはり「キャンパスライフ」というものに対する世間の需要が一定以上存在するということを示してもいました。
やはり大学時代を振り返ると楽しいキャンパスライフを思い浮かべる人が多いのが現実だね。
新しい友達も作る機会がなく、今の学生たちは寂しいだろうね。
それにしても遠隔授業が自分に合ってるのか、凄く捗るし楽。
— のた (@Notare00) 2020年6月9日
落ち着ける空間に独りで居れるから集中できるし、授業中にチャットで気軽に質問できるし、動画で内容を見直す事もできる。
体調が悪くても家で受けられるので、無理に体動かして悪化させたり他人に移す心配もないし、欠席による遅れない。
Twitterで見つけましたが、この方のように逆に勉強が捗るというご意見もあるでしょう。しかしながら、多くの方にとって大学とは、”単純な学位授与機関”ではなく、学生生活をとおして人と出会い、学び、遊ぶ場所であるという認識が圧倒的だと感じます。
大学生の頃を思い出すと、勉強だけが思い出ではないもんね。
ともすると今後の大学の在り方としては、キャンパスライフをベースとした従来の形に戻していくことが求められていると言って間違いないでしょう。
一方で、大学の提供する教育サービスにおいては、以下お話するような変えるべき要素が含まれると考えています。
キャンパスライフはやっぱり大切
真のハイブリッド型授業へ移行
まず一つ目は、コロナウイルス感染防止の観点も含めて総合的に遠隔授業”も”可能とする真のハイブリッド型を確立することです。
現在の大学の対応は、やはり受け身的にコロナ対応に追われてしまった結果、学生のケアや設備面での不安など多くの課題を抱えているのが現状です(もちろん、充実した遠隔授業を実施した大学もあるとは思いますが)。
Twitterのように勉強に力を入れたい人などの需要もあるだろうね。
ふむふむ。ぼくも雨の日は通学したくないなぁ。
うーん。やや不純な動機だけど、選択肢があるのは良いことだよね。
中には「通信教育でいいじゃないか」や「全部オンラインに変えちゃえばいいじゃん」などのご意見もありますが、実は通信教育過程というのは色々と縛りがあるのです。
読みやすいwikipediaのリンクを貼りました。
歴史的にも通学過程がスタンダードでありますので、「通信でもきちんとした教育を施すことができる」のがポイントになっています。
翻って、今の遠隔授業の質の担保は…と考えてしまうね。
とはいえ、せっかく導入した遠隔授業の礎がある上に、勉強に力を入れたい学生や忙しい社会人などの需要は見込めます。
これらの新たな需要を取り込むためにも真のハイブリッド化に取り組んでいく必要があります。
対面でもオンラインでも教育の質を担保することが大切
新たな国際交流の方法
次に変革を迫られているのは、国際交流をどう行っていくか、です。
留学って学生時代の特権みたいな感じあるよね?
社会人になると中々まとまった時間が取れないからね。
留学は人生の価値観や物事の考え方を変える上で、これほど重要なものはないと言えるぐらい価値のあるものです。
留学制度の豊富さで進学する大学を選ぶ方も大勢いるでしょう。
ところが、2020年度は全ての留学プログラムが世界規模でストップしてしまっています。
現地に足を運んで、人々と交流することが醍醐味であるはずですが、こちらもオンライン留学等の手段で代替していくことになるでしょう。
既に法政大学や桜美林大学などは令和2年度にオンライン留学を実施しています。
また、個人での海外留学(私費留学)を行う場合には、早くから外国の教育機関が準備を整えているため、大学に頼らずとも実行可能です。
留学したい人は大学に頼らないのも手
就職活動支援の強化
現実的な課題として、日本の労働市場全体が不景気になっていることも大学にとっては痛い話です。
”就職予備校”と揶揄される向きもあるとおり、大学で4年間(ないし6年間)過ごした後には社会に出ていく必要があります。一部では士業に就く人や起業する人もいますが、多くの人は就職活動をすることになるでしょう。
2020年は採用活動を見送った企業が多かったよね。
うん、2020年11月時点での内定率は70%を割るほど不景気なんだよ。
令和4年度卒対象の新卒採用シーズンがそろそろ到来しますが、昨年は中止になってしまった就職相談会や各大学の企業セミナーなどが軒並みオンラインで実施することが決まってきています。
低年次からのキャリア教育やインターンサポートなど時代に合わせた支援をしてきたキャリア支援ですが、今後は一層有為な人材の確保が企業にとって大切になってきますので、根本的な就職指導や就業意識の醸成を行う必要があるでしょう。
今後の就活市場は更なる二極化
まとめ
うわー。これだけ見ても今後の大学にはたくさんの課題があるんだね…。
でも一番大変なのはやはり学生だよ。だからこそ我々大学職員も旧態依然 とした状況から脱却していかなきゃいけないんだ。
確かにそうだよね。学生さんたちにはなんとか有意義な学生生活を過ごしてほしいもんね。
そのために、我々もしっかり知識やスキルをアップデートしていくよ!